USCPA(米国公認会計士)のライセンスを維持し続けるには、CPEと呼ばれる継続的な専門教育を受け、各ライセンス登録州の単位要件を満たす必要があります。CPEは無料で取得できるものと有料で取得が必要なものがあります。
今回はその有料のCPEプログラムの中でもCFI(Corporate Finance Institute)が提供するFinancial Modeling & Valuation Analyst(FMVA)のコースを紹介します。
FMVAの基本情報
CFI(Corporate Finance Institute)が提供する、財務モデリングとバリュエーションに特化した認定プログラムです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営元 | Corporate Finance Institute(CFI) |
| コース構成 | 必須コース+選択コース(3科目) |
| 修了試験 | 3時間、70%以上の正答率で合格 |
| CPE単位 | NASBA登録スポンサーとして認定 |
| 受講形式 | 100%オンライン、自分のペースで進行 |
| 筆者の受講期間 | 約3か月(週2〜4回、1回1〜3時間) |
CFIのカリキュラムは頻繁に更新されており、必須・選択コースの数や内容は変わることがあります。2025年から2026年にかけても、必須コースの入れ替え(Budgeting and Forecastingが必須から外れる、DCF関連コースが2つに分割されるなど)が行われています。最新の正確な構成は、必ずCFI公式サイトでご確認ください。

FMVAで学べること
13の必須コースは、大きく3つの柱に分けられます。
1.財務諸表とバリュエーションの基礎
3表連動モデルの構築から、DCF法・類似会社比較法によるバリュエーションまで。ここが、財務モデリングの土台になります。
2.実務で使うExcelとプレゼンスキル
シナリオ分析、ダッシュボード構築、ピッチブック向けのプレゼン資料作成など。数字を作るだけでなく、伝えるところまでがカバーされています。
3.会計・ファイナンスの基礎と職業倫理
財務分析の基礎や、専門家としての倫理観を扱うコースです。USCPAの学習内容と重なる部分も多く、復習を兼ねて進められます。
コースの詳しい説明や最新の一覧は、CFI公式サイトでご確認ください。
USCPAとFMVAをどう組み合わせるか
USCPAは、会計・監査・税務・財務諸表分析まで幅広くカバーする資格で、「何を計算すべきか」「その数字が何を意味するか」を理解するための知識が中心です。一方FMVAは、その知識を実際にExcelでどう組み立てるか、という実践的なスキルにフォーカスしています。
筆者自身の経験では、USCPAは「何を計算すべきか」を、FMVAは「それをExcelでどう作るか」を教えてくれました。USCPA保有者がFMVAを取る一番のメリットは、知識をツールに変換する経験ができることだと感じています。
FMVAはこんな人におすすめ
・USCPAのCPE単位を、実務スキルと同時に取得したい人
・投資銀行、プライベートエクイティ、コーポレートファイナンス、財務モデリング業務に関わる、または今後関わりたい人
・会計知識はあるが、Excelでのモデル構築に苦手意識がある人
FMVAコースのその他
FMVAコース終了までにかかる時間
FMVAコースは終了までにおよそ100〜150時間を要します。毎日2時間程度欠かさず勉強して2ヶ月は程度はかかる計算なので結構分量的には多めです。少し気合いを入れて学習に取り組まなければ意外とパスすることは難しめです。
FMVAコース認定証
FMVAコースを終了し、試験にも合格すると、FMVA認定証がもらえます。これは結構しっかりした認定証で、ブロックチェーンベースで交付されますが、希望すれば紙ベースでの認定証ももらうことができます。

FMVAの認知度
FMVAは日本での知名度は全くない、と言えます。しかし、世界ではちょっとは名の知れた資格であることは間違いなく、LinkedinなどのプロフィールではFMVAであることを全面に出しているプロフイールも多数あります。
このCFIという団体は、投資銀行、Big4、その他著名な外資系企業に対してファイナンスのトレーニングを実施しており、金融業界の中では知っている人も多いです。
実際に受講してみて
FMVAを実際に受講してみて
筆者はUSCPAとFMVAの両方を保有しており、実務でもプロジェクトファイナンスのモデリングや買収モデルの構築に携わっています。ここでは、実際にFMVAを受講した経験をもとに、公式サイトだけでは分からない実感をお伝えします。
受講期間と学習ペース
全体の受講には約3か月かかりました。平日は仕事終わりに1〜2時間、休日は2〜3時間ほど、毎日ではなく週に2〜4回のペースで進めました。まとまった時間を確保しなくても、隙間時間の積み重ねで完走できるボリューム感です。
実務で役に立ったコース
13コースの中で、実際の業務で特に役に立ったと感じたのは、次の3つです。
- Dashboards & Data Visualization:モデルの中身がどれだけ精緻でも、相手に伝わらなければ意味がありません。数字を見せ方まで含めて設計するという視点は、実務に出てから一番効いていると感じます。
- DCF Valuation Modeling:プロジェクトファイナンスや買収モデルの根幹となる考え方で、USCPAの学習だけでは得られない実践的な計算の型を身につけられました。
- Introduction to 3-Statement Modeling:財務3表を自分の手でゼロから組み立てる経験は、USCPAの座学で学ぶ会計知識を、実務のモデルに落とし込む橋渡しになりました。
正直、退屈だったコース
Professional Ethicsは、内容自体は理解できるものの、実務との接点が薄く、13コースの中では一番退屈に感じました。ただ、CPE単位の取得という観点では必要なコースです。
USCPAとの違い
USCPAと比べると、FMVAは難易度としてはかなり易しく感じました。USCPAが会計・税務・監査などの幅広い知識を問う「学問」寄りの試験であるのに対し、FMVAはExcelでのモデル構築という「スキル」を身につける実践的なプログラムです。USCPAで得た会計の理解を、FMVAで実務のツールに変換する、という組み合わせ方が、個人的にはしっくりきました。


よくある質問
FMVAとは何ですか?
FMVA(Financial Modeling & Valuation Analyst)は、CFI(Corporate Finance Institute)が提供する、財務モデリングとバリュエーションに特化した資格プログラムです。Excelを使った実践的なモデル構築のスキルを、体系的に学べる点が特徴です。
FMVAは日本で通用しますか?
日本国内での知名度は高くありませんが、投資銀行やBig4など、金融業界の中では認知されている資格です。CPE単位としても認められており、USCPAのライセンス維持と実務スキルの両方に活用できます。
USCPAとFMVAの違いは何ですか?
USCPAは会計・税務・監査など幅広い知識を問う試験で、学問的な側面が強い資格です。一方、FMVAはExcelでのモデル構築という「スキル」を身につける実践的なプログラムです。USCPAで得た会計知識を、FMVAで実務のツールに変換する、という組み合わせ方がおすすめです。
FMVAの受講にはどのくらい時間がかかりますか?
コースの合計時間はおよそ100〜150時間とされています。筆者の場合、平日1〜2時間、休日2〜3時間のペースで、約3か月かけて修了しました。
FMVAはどんな人におすすめですか?
投資銀行、プライベートエクイティ、コーポレートファイナンス、財務モデリング業務に関わる、または今後関わりたいと考えている方におすすめです。USCPA保有者であれば、会計知識と実務スキルの両方を補完し合える資格です。
まとめ・免責事項
FMVAは、USCPAのCPE単位を取得しながら、実務に直結する財務モデリングのスキルを身につけられるプログラムです。USCPAで得た知識を、実際に手を動かして使えるツールに変換したい方には、特におすすめできます。
免責事項:本記事の内容は筆者個人の経験に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定のプログラムへの加入を推奨するものではありません。最新の料金・カリキュラムは、必ずCFI公式サイトでご確認ください。

