財務モデリング初学者のための基礎知識:USCPAの補完スキル

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USCPA(米国公認会計士)の資格を補完するスキルとして、財務モデル構築スキルがあります。財務モデルを構築できるスキルがあると、一般企業の経営企画、財務、金融、投資銀行、資産運用(アセットマネジメント)などへのキャリアチェンジが狙いやすくなります。

この記事の目次

財務モデリングとは

財務モデリングとは、企業の財務データを基に、予測や分析を行うためのモデルを作成するプロセスです。これにより、投資判断や事業計画の立案、予算管理などに役立つデータを提供できます。特に企業の意思決定において、財務モデリングは欠かせないスキルです。

財務モデルの代表的な使用目的

事業計画(Financial Planning)

長期事業計画や短期予算の策定、資金繰りの把握、予算数値と実績数値の再分析等において財務モデルを使用します。

資金調達(Capital Management)

資金調達、資本政策等の場面において、財務モデルを使用します。

財務分析(Financial Analysis)

M&Aや新規プロジェクトの場面において、キャッシュフローに基づく価値分析、また投資判断で財務モデルを使用します。

財務モデリングに必要な基礎知識

財務モデルは、企業の経営者、投資家、債権者、財務アナリストなどが意思決定を行う際に役立ちます。一般的に、財務モデルは収益予測、資金調達、投資評価、資産評価などの目的で使用されます。

財務モデルを構築するためには、いくつかの重要な財務知識が必要です。以下に、財務モデルに必要な主な知識領域をいくつか挙げます。

財務諸表の理解

財務モデルでは、財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)の理解が不可欠です。これらの財務諸表が会社の財務状況や業績を反映しており、財務モデル構築の基礎となります。USCPA(米国公認会計士)である、もしくは学習中であれば、これら財務三表の知識は保有されていることでしょう。

これら貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CF計算書)は連動して動きます。PLのトップラインである売上が計上されると、BSの売掛金が増加します。BSの売掛金が増加すると、CF計算書の運転資本が減少します。

このようにPL、BS、CF計算書が連動し、最終的に各期末の財務諸表が完成します。

エクセルのスキル

財務モデルは基本的にエクセルを使用して作成します。

基本的な関数に加え、エクセルの分析機能の活用、名前の定義、マクロ・VBA(特にLOOP)などを使いこなせるようになると、財務モデリング作成の際に効率が向上し、正確で信頼性のある財務モデルを作成できるようになります。

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財務指標の理解

財務指標の理解は、企業の財務健全性や成長性を評価するために重要です。財務指標とは、安全性、収益性、効率性の三つの指標です。

資産に対する負債の比率、EBITDAに対して年間の有利子負債はどの程度あるか、流動性はどの程度あるか、などの安全性の指標、粗利率、利益率、投下資本に対する純利益などの収益性の指標、在庫回転率や資産回転率などの効率性の指標などです。

これらの指標は、企業の特定の側面を評価するためのツールとして使用されます。ただし、単体で見るのではなく、複数の指標を組み合わせて総合的に評価することが重要です。また、業界や企業の状況によって適切な指標が異なる場合がありますので、その点にも留意する必要があります。

キャッシュフローの理解

キャッシュフローは、財務モデルのアウトプットです。最終的にはキャッシュフローを算出するために財務モデルを作成する、と言っても過言ではありません。

また、IRR、NPV、Cash on Cash、Payback Periodなどに必要な非常に重要な概念です。現金の流入と流出を正確に予測することが、財務モデルの中心的な目標の一つです。

キャッシュフローは、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの三つのキャッシュフローから構成されています。

営業キャッシュフローは、ざっくりというと、PLのNet IncomeやEBITから、非現金支出・収入を足し引きし、場合によってはTax Shieldも考慮に入れつつ、BS項目の運転資本の増減によって構成されます。投資キャッシュフローはCAPEX(Capital Expenditure)、財務キャッシュフローは資金調達関連の動きを表すものです。

割引率の理解

バリュエーション手法や割引率の概念を理解することは、投資評価や企業評価のための財務モデルで重要です。DCF法(割引現在価値法)などの手法を用いて、企業価値を評価する際に役立ちます。

割引率は、投資家や債権者、評価者が将来のキャッシュフローの価値を評価する際に使用されるもので、ハードルレートとも呼ばれます。投資対象やファイナンス対象のリスクを数値化したものとも言えます。リスクが高いほどキャッシュフローは大きく割り引かれ、反対にリスクが低い場合はキャッシュフローの割引具合は小さくなります。

例えば、1年後に1000万もらえる金融商品があるとして、その金融商品のリスクが5%の場合のその1000万の現在価値は952万円、リスクが10%の場合のその1000万円の現在価値は909万円となります。

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財務モデリング初心者におすすめの学習ツールとリソース

財務モデリングを学ぶためのリソースは数多くあります。以下は、初心者に特におすすめのものです。

オンラインコース

CFI(Corporate Finance Institute)やUdemyなどで提供されているコースは、基礎から応用まで体系的に学べます。

特にCFIが提供しているFinancial Modeling & Valuation Analyist(FMVA)コースは、財務モデリングスキルの基礎からしっかりと学べるので初心者向けに非常におすすめです。

また、CFIはUSCPA(米国公認会計士)にとって嬉しいCPEのサービスプロバイダーです。財務モデリングを学びながらCPEも稼ぐことができます。

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書籍での自己学習

「外資系金融のExcel作成術」「エクセルを使った財務モデリング入門」など、初心者向けの書籍での学習も有益です。


特に「外資系金融のExcel作成術」は、財務モデリングや表の見せ方におけるプロフェッショナルスキルを学べる一冊です。外資系金融で実際に使用される効率的なExcel活用法や、説得力のある資料作成のポイントを具体的に解説しています。ファンドアカウンタントや金融業界を目指す方にとって、実践的なスキルを磨くための必携書です。

世界的金融機関モルガン・スタンレーで「エクセルニンジャ」と称された著者が、グローバル基準のExcel作成術を解説する一冊!

第1部「基礎編」では、フォントや色使い、罫線の選び方といった、日系企業が知らない世界標準のExcelルールを紹介。

第2部「モデル編」では、外資系金融で必須の財務モデル作成手法をわかりやすく解説。投資銀行や商社、経営企画に関わる方にとって必携の実践的な内容です!

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USCPA Globalの人

大学卒業後、アジア各国および香港で勤務。これまでに、会計事務所での実務会計業務を通じて専門的な会計知識とスキルを磨き、さらに金融分野でのキャリアを通じて財務に関する深い知識を習得。投資ファンドの運営会社に勤務し、ファンド管理や財務モデリングを担当した後、USCPA Global創業。香港在住。

USCPA、CPA Australia、FMVA

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