ビジネスマンの皆さん、今後のキャリアアップを考える上で、USCPA(米国公認会計士)の資格は有力な選択肢の一つです。USCPA(米国公認会計士)資格は、会計業界での信頼性と専門性を高め、キャリアの発展に大きく貢献することができます。そしてUSPCA(米国公認会計士)ならではの出願州という概念、試験科目について理解することは重要です。
この記事では、USCPA(米国公認会計士)資格の出願州と試験科目について詳しく解説します。将来のキャリアに向けて資格取得を検討している方々にとって、この情報が役立つことを願っています。
USCPA(米国公認会計士)試験の出願州
USCPA(米国公認会計士)資格の特徴として、出願する州を決める必要があります。もちろん全米統一の試験であり、試験内容は一緒なのですが、出願する州によって試験を受けるまでの道のりが変わってきます。一般的な学歴要件や単位要件などは各州によって異なります。
※出願州とライセンス取得州は異なります。
学歴要件
通常、どこの州で出願するにしても殆どの場合、4年制大学または大学院で学士号または修士号を取得しておく必要があります。この「大学または大学院」とは日本の大学ももちろん含まれます。州によっては、短大卒でもUSCPA(米国公認会計士)資格の取得に有効な資格と見なされることがあります。また、大学に在籍している間にUSCPA(米国公認会計士)試験に出願することも可能です。
ビジネス関連単位の取得
日本人が出願州として選びやすい州では、会計学、経済学、ビジネス関連の単位を取得しておく必要がある場合がほとんどです。以下を大体イメージしていれば良いでしょう。
- 会計専攻24単位(監査・税務・管理会計・財務会計を含むこと)
- ビジネス専攻24単位(経済学6単位、ファイナンス3単位、ビジネス法3単位を含むこと)
- 学士号または総取得単位120単位
文系卒であれば、会計やビジネス関連の単位はある程度取得していることと思いますが、理系卒だと新たに取得する必要があります。また、文系卒であっても日本の大学で取得したこれらの単位が、米国でも単位として認められる必要があります。
現時点でこれらの単位を取得してなくても問題はなく、USCPA(米国会計士)の予備校に入ると、その予備校が提携している大学等で単位の取得が可能な場合が殆どです。通常、自身の状況に合わせて、予備校のカウンセラーがおすすめの出願州を提示してくれます。
おすすめ出願州:グアム準州、アラスカ州、ニューヨーク州
グアム準州での出願では、大学は卒業している(学歴要件は満たしている)ものの、単位要件を満たしていない場合におすすめの出願州です。単位要件を満たしてなくても、「見込み受験」制度を使って受験が可能となっています。「見込み受験」制度を使う場合、最初の受験から18か月以内に会計24単位、ビジネス24単位を取得する必要があります。
もし18ヶ月以内に会計24単位、ビジネス24単位が取得できなかった場合は、合格していたとしても、その合格は取り消しになりますので注意が必要です。
アラスカ州、ニューヨーク州は、他の州と比較して単位要件が緩いのが特徴です。
アラスカ州であれば4年生大学卒+会計15単位の取得で受験が可能です。ニューヨーク州であれば、総単位数+会計4科目の取得で受験が可能です。手っ取り早く受験したい場合におすすめです。
米国での学歴評価は必須
日本の大学で会計関連科目、ビジネス関連科目は取得済み、という場合でも、その取得済みの単位が米国での単位と同等と認められなければ単位要件は満たしません。
学歴評価手続きは、米国以外の大学、つまり日本の大学を卒業した人がUSCPA(米国公認会計士)試験を受験する際に必要な手続きです。学歴評価手続きでは、各州の公認会計士委員会が指定した学歴評価機関を利用する必要があります。
USCPA(米国公認会計士)の試験科目
USCPA試験は、以下の4つの科目で構成されています。
- Auditing and Attestation(監査と報告)
- Business Environment and Concepts(ビジネス環境と概念)
- Financial Accounting and Reporting(財務会計と報告)
- Regulation(ビジネス法と税法)
Auditing and Attestation(監査と報告)
Auditing and Attestation(監査と報告)は、会計士ならではの専門的な分野の一つです。この科目は、企業の財務報告の信頼性や適正性を検証するための方法や原則に焦点を当てています。
具体的には、以下のような内容が監査と報告の科目で取り扱われます。
監査手法
企業の財務報告を審査するための手法やプロセスについて学びます。これには、内部統制の評価、監査手順の設計、サンプリング手法などが含まれます。昨今のIT化に合わせてIT監査の手法についても扱われます。
財務報告基準
監査報告書、レビュー報告書等の作成に必要な報告基準や書式について学びます。公認会計士が報告書を作成する際の標準的な文言やいい回し、フォーマットや責任分担の要素について理解を深めます。
専門倫理
監査業務における専門倫理や行動規範について学びます。公認会計士が監査業務を適正に行うためには、倫理的な原則を遵守することが不可欠です。
報告書の分析
実際の企業の財務報告や監査報告書を分析し、その信頼性や適正性を評価する能力を身につけます。これには、財務諸表の分析や監査報告書の検証方法が含まれます。
監査と報告の科目は、企業の財務報告の信頼性を確保し、投資家や利害関係者に対して正確な情報を提供するための重要なプロセスを理解することを目的としています。
Business Environment and Concepts(ビジネス環境と概念)
ビジネスに関連する広範なトピックをカバーする科目です。この科目は、ビジネスの環境や概念に関する理解を深め、会計士がビジネスのさまざまな側面を理解し、それに対応する能力を評価することを目的としています。
具体的には、以下のようなトピックがビジネス環境と概念の科目で取り扱われます。
経済環境
経済の基本原則やマクロ・ミクロ経済学の概念について学びます。これには、景気循環、インフレーション、失業率などの経済指標や、国内外の経済政策の影響についての理解が含まれます。
経営環境
組織の経営や戦略に関する概念に焦点を当てます。企業の経営戦略、市場競争、リーダーシップ、組織文化などについて学び、ビジネスの成功に必要な要因を理解します。
情報システムと技術
ビジネスにおける情報システムやテクノロジーの役割について学びます。これには、情報の管理とセキュリティ、データ解析、ITインフラストラクチャーの重要性などが含まれます。
金融および財務概念
資金調達、投資、財務管理に関する基本的な概念について学びます。企業の資金調達方法や財務分析手法、リスク管理の基本原則などが含まれます。
ビジネス環境と概念の科目は、会計士がビジネスの総合的な理解を深め、企業や組織が直面する様々な課題に対処する能力を評価するための重要な部分です。
Financial Accounting and Reporting(財務会計と報告)
会計の基本原則や財務報告の概念に焦点を当てたものです。この科目では、企業の財務情報が適切に処理され、報告されるための基本的なルールや手順について学びます。
具体的には、以下のような内容が財務会計と報告の科目で取り扱われます。
会計原則
財務会計の基本的な原則や基準について学びます。これには、米国会計基準(USGAAP)だけでなく、国際会計基準(IFRS)などの会計基準の理解が含まれます。また、米国会計基準(USGAAP)と国際会計基準(IFRS)の違いについても理解を深めます。
財務諸表
財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)の構成要素や作成方法について学びます。これには、会計方針の選択、調整項目の処理、財務諸表の解釈方法などが含まれます。
収益認識
収益認識の原則や方法について学びます。これには、商品やサービスの売上高をいつ認識するか、契約に基づいて収益をどのように認識するかなどが含まれます。
資産評価
資産の評価や減価償却の方法について学びます。これには、固定資産や無形資産の評価方法、評価基準の変更に伴う処理などが含まれます。
財務会計と報告の科目は、企業の財務情報が適切に処理され、報告されるための基礎的な知識やスキルを身につけることを目的としています。企業の財務情報が正確かつ信頼性のあるものであることは、投資家や株主、その他の利害関係者にとって重要です。
Regulation(ビジネス法と税法)
連邦税法、州税法、連邦証券法、およびその他の規制に関する法律と規制に焦点を当てた科目です。この科目では、個人や企業の財務活動に関連する法的および規制上の問題について学びます。
具体的には、以下のような内容がRegulationの科目で取り扱われます。
連邦税法
連邦政府によって課税される所得税、法人税、贈与税、相続税などの税法に関する基本的な原則や規定について学びます。これには、課税対象、所得の計算方法、控除や控除の適用条件などが含まれます。
州税法
各州が課税する所得税、消費税、財産税などの税法について学びます。州ごとに異なる税法の適用範囲や規定について理解を深めます。
連邦証券法
証券取引委員会(SEC)が規制する連邦証券法に関する基本的な原則や規定について学びます。これには、公開企業の情報開示要件、内部者取引の規制、不正行為防止法(Sarbanes-Oxley Act)などが含まれます。
その他の規制
その他の規制に関する法律や規定について学びます。これには、公認会計士の倫理規定(AICPAコード)、企業法、労働法、およびその他のビジネス関連の法律が含まれます。
Regulationの科目は、会計士が法的および規制上の要件を理解し、個人や企業の財務活動を適切に遵守する能力を評価することを目的としています。これにより、会計士は法律や規制の遵守に関する専門知識を持ち、顧客や企業に法的なアドバイスやサポートを提供する能力を向上させることが期待されます。
まとめ
USCPA(米国公認会計士)資格の出願州と試験科目について説明しました。USCPA(米国公認会計士)資格は、会計業界での信頼性と専門性を高め、キャリアの発展に役立ちます。出願州については、自らで判断せず、アビタスなどの予備校に相談してみましょう。