USCPA(米国公認会計士)のREG(Regulation)試験は、米国の連邦税法、ビジネス法、会計の規制、およびその他の関連トピックに関する知識と理解を評価する試験です。その試験の殆どは税務申告に関するもので、実際の試験も税務申告書を作成する、というような問題も出題されます。この記事ではREGについての基礎的な内容を説明していきます。
REG(Regulation)とは
米国の連邦税法、ビジネス法、会計の規制、およびその他の関連トピックに関する知識と理解を問われる試験です。正直、試験に出る内容は、殆どの日本人には馴染みの薄い分野なので、退屈さ、無意味さを感じてしまうことになると思います。
しかし、基本的な税金の考え方、ビジネス習慣については、感覚を掴む点において、実際の実務で役にたつことは間違いありません。
それでは、REG試験の基礎知識として、連邦税法、ビジネス法について、特に説明していきたいと思います。
連邦税法
連邦税法(Federal Tax Law)は、アメリカ合衆国の連邦政府が制定および運用する税法のことを指します。連邦税法は、連邦政府が徴税権を持ち、所得税、法人税、相続税、贈与税、雇用税などのさまざまな税金を規定しています。
連邦税法は、内国歳入法典(Internal Revenue Code)に詳細に記載されており、その施行に関する規則や規定も存在します。内国歳入法典は、税法の基本的な原則、税務手続き、税務申告、税務制度、税制優遇措置などについて規定しています。
連邦税法は、個人や法人などの納税者に対して税金の申告、納税、税務処理の義務を課しています。また、税務申告の際には、所得の計算、控除、税額控除、税務申告書の記入など、様々な要件やルールに従う必要があります。
所得税(Income Tax)
連邦所得税は、個人や法人の所得に対して課税される税金です。個人所得税は、個人の給与所得、事業収入、利子や配当などの投資収入などに基づいて計算されます。法人所得税は、法人の利益に対して課税されます。所得税には、税率や控除、免除などのさまざまな要素があります。
雇用税(Employment Tax)
連邦雇用税は、従業員の給与から差し引かれる税金です。雇用主は、従業員の給与から連邦所得税、社会保障税(Social Security Tax)、メディケア税(Medicare Tax)を源泉徴収し、連邦政府に納付する責任があります。
資本利得税(Capital Gains Tax)
資本利得税は、資産の売却益に対して課税される税金です。株式や不動産などの資産を売却し、利益が発生した場合に課税されます。長期保有に対しては低い税率が適用される場合があります。
相続税(Estate Tax)
相続税は、相続人が相続財産を受け取る際に課される税金です。相続税は、相続財産の価値に基づいて計算され、一定の免除額を超える部分に対して課税されます。
その他の税金
連邦税法には、上記のほかにもさまざまな税金が存在します。例えば、消費税や関税などがあります。また、特定の産業や活動に対して特別な税金や控除が設定されることもあります。
ビジネス法
ビジネス法(Business Law)は、ビジネスに関連する法律の総称です。これは、ビジネス取引や商業活動における法的な規制や原則を包括しています。ビジネス法は、企業の設立、運営、取引、契約、労働法、知的財産法、消費者保護法など様々な領域をカバーしています。
ビジネス法は、企業とその関係者(経営者、従業員、株主、取引先、顧客など)の権利と責任を定め、取引の公正性と透明性を保護します。以下に、ビジネス法の主要な領域と関連するトピックの一部を取り上げていきます。
商法(商業法)
商取引や契約、消費者保護、競争法、不正行為(詐欺)などが含まれます。
会社法
企業の設立、組織、経営、株主の権利と責任、経営者の責任などが含まれます。
労働法
雇用契約、労働条件、労働者の権利と保護、労働組合などが含まれます。
契約法
取引契約、労働契約、賃貸契約など、契約の有効性、履行、違反に関する法律原則が含まれます。
知的財産法
特許、商標、著作権、営業秘密などの知的財産権に関する法的な保護を扱います。
ビジネス法は、企業や個人が法的な義務と責任を遵守し、ビジネス活動を適法かつ倫理的な方法で行うためのガイドラインとなります。ビジネスを始める、拡大する、契約を交わす、従業員を雇う、知的財産を保護するなどの場面で、USCPA(米国公認会計士)としてビジネス法に関する基礎的な知識が必要になります。
REG試験の出題トピック
USCPA(米国公認会計士)のREG試験は、4つのセクションから構成されています。
連邦税法(Federal Taxation)
連邦税法であるFederal TaxationはREG試験の大部分(60%から70%)を占めます。個人所得税、法人所得税、資産税、贈与税など、連邦税法に関するトピックが幅広く出題されます。また日本であまり馴染みのないパートナーシップ形態での税金計算についても広く出題されます。
ビジネス法(Business Law)
ビジネス法(Business Law)は、REG試験の10%から20%程度出題されます。出題範囲は、契約法、商法、労働法、破産法など、ビジネス法に関するトピックが幅広く出題されます。例えば、いつ、どの段階で契約が成立しているのか、どの段階で所有権が移るのか、などです。
職業倫理規定(Ethics and Professional Responsibilities )
USCPA(米国公認会計士)としての倫理とプロフェッショナリズムに関するガイドラインや規制について出題されます。REG試験の15%から20%を占めるトピックです。これは暗記すれば得点源になりますので、落としたくないトピックです。
税務手続き等(Federal Tax Procedures and Accounting Issues)
税務手続き、会計の規制、報告要件などに関するトピックが出題されます。REG試験の大体10%程度となっております。
基本的には連邦税法をしっかりとやり込むことです。会社形態によって、例えばSコーポレションの場合、Cコーポレションの場合、パートナーシップの場合などで、収入がどこに帰属するのかなどを確りと理解して頭に入れることが必要です。
REG試験の特徴:税務申告書作成
REG試験は、他の科目と同じくコンピュータベースの試験です。選択肢形式の複数の選択肢問題(MC問題、マルチプルチョイス)と、タスクベースのシミュレーション問題(TBS、タスクベースシュミレーション)が含まれます。TBS問題では、実際の業務シナリオに基づいて、税務申告書文書を作成する点が特徴的です。
税務申告は、タックスリターン(Tax Return)と呼ばれ、米国内で所得税を申告するために提出される文書です。個人や事業主は、毎年、前年の所得と関連する税金情報をまとめて申告し、タックスリターンを提出する必要があります。
個人所得税リターン(Individual Income Tax Return)
一般的な個人や家族は、所得税リターンを提出する必要があります。個人所得税リターンの一般的なフォームは、フォーム1040またはフォーム1040A(廃止予定)です。所得税リターンには、個人の収入、控除、税額控除、税金の支払い、返金などが含まれます。
法人所得税リターン(Corporate Income Tax Return)
法人や法人の所有する事業は、法人所得税リターンを提出する必要があります。一般的な法人所得税リターンのフォームは、フォーム1120です。法人所得税リターンには、法人の収入、控除、税額控除、税金の支払い、返金などが含まれます。
自営業者のタックスリターン(Self-Employed Tax Return)
自営業者や独立業者は、個人所得税リターンに加えて、自営業税(自己雇用税)の申告も行う必要があります。自営業者のタックスリターンには、営業収入、事業費用、自己雇用税、控除、税金の支払いなどが含まれます。
その他のタックスリターン
特定の状況では、追加のタックスリターンが必要になることがあります。例えば、不動産の売却に関連するキャピタルゲイン税のリターン(フォーム8949とスケジュールD)や、外国の金融口座に関連する報告義務(FBAR)などがあります。
まとめ
USCPA(米国公認会計士)試験のREGは、連邦税法についての理解を問われる問題が多くなります。他の科目と同じように、暗記するだけでは不十分で、必ず「なぜ?」を繰り返し、確りとロジカルに理解することが大切です。
そして税務申告書の作成は必ず出題されますので、学習にてインプットした内容を申告書Formでアウトプットすることで、理解を深めていく進め方が効率的です。
頑張りましょう。