USCPA(米国公認会計士)試験の難易度、合格率は受験生に気になるところです。日本の公認会計士試験の合格率がおよそ10%前後と言われているなかで、USCPA(米国公認会計士)の合格率と難易度について説明していきます。
受験生それぞれの属性、前提条件によって難易度や合格率は異なりますが、AICPAで公開されている合格率は各教科40%〜50%後半となります。
この数字だけ見ると、半数近くが合格しています。
USCPA(米国公認会計士)試験の合格率
以下はAICPAが公式に発表している2023年度の合格率です。
セクション | 第一四半期 | 第二四半期 | 第三四半期 | 累計 |
AUD | 47.01% | 48.24% | 45.64% | 46.92% |
BEC | 56.98% | 59.16% | 54.90% | 56.52% |
FAR | 41.82% | 42.78% | 44.08% | 42.94% |
REG | 58.63% | 59.71% | 59.13% | 59.19% |
2024年度から、BECという科目はなくなり、代わりに3つの科目からの選択専門制となりましたので、上記は試験制度変更前の情報です。
各セクションで50%前後の合格率
意外にも高い合格率なのが、USCPA(米国公認会計士)の特徴です。ただ、この合格率はあくまで試験受験者全体の合格率の平均をとったものであることは留意してください。
AUDとFARの合格率は50%を切る
全体を通して高い合格率ですが、AUDとFARの合格率は50%を割っています。特にFARの合格率は40%台前半となっており、4つのセクションの中でも一番難易度が高いことが伺えます。
AUDは監査に馴染みがない受験生にとっては、イメージがしにくい科目である為、REG、BECに比べて合格率が低いのも納得です。
受験回数8回まででの全科目合格は20%程度
上記の各科目の合格率をベースにすると、ストレートで合格する受験生は全体の7%程度と計算することができます。受験回数6回までで合格する確率が17%、受験回数7回までで合格する確率が19%程度、受験回数8回までで合格する可能性は20%となります。
8回までの受験回数が現実的だと考えると、USCPA(米国公認会計士)試験の全体での実質の合格率は20%程度と見積もることができます。
諦めなければ合格率は自然と上がっていくものの、9回以上受けるとなると、機会費用の観点からもUSCPA(米国公認会計士)合格を追求することは考え直した方が良いかもしれません。
日本人のUSCPA(米国公認会計士)合格率
USCPA(米国公認会計士)試験は全て英語で行われます。英語ネイティブでない日本人だと、全科目合格率は下がるとみておくべきです。
全セクションにおいて、日本人の合格率が全体の合格率の9割だとすると受験回数8回までで合格する可能性が15%、日本人の合格率が全体の合格率の8割だとした場合は、受験回数8回までで合格する可能性が10%程度まで下がります。
1科目合格後、18ヶ月以内に残り3科目の合格が全科目合格の条件であるのも考えると、難易度が高い試験であると言えるのではないでしょうか。
USCPA(米国公認会計士)以外の類似資格の難易度
その他の類似資格の合格率はどの程度でしょうか。
日本の公認会計士の最終合格者は7%後半
金融庁管轄の「公認会計士・審査委員会」より公表されている情報によると、日本の公認会計士試験の合格率は2023の場合で7.6%、2022年の場合で7.7%です。
以下は日本の公認会計士の合格者実績です。
試験回 | 受験者数 | 最終合格者数 | 合格率 |
2023 | 20,317 | 1,544 | 7.6% |
2022 | 18,789 | 1,456 | 7.7% |
単純に合格率のみで比較した場合だとUSCPA(米国公認会計士)試験は、日本の公認会計士試験に比べて難易度は低いと言うことができます。
簿記1級の合格率は10%程度
日本商工会議所の発表データによると、過去4回の簿記1級試験の合格率平均は12.5%程度となりました。直近2023年11月の試験データだと合格率は16.8%となっていますので、簿記1級の試験のタイミングによって難易度にバラツキがあることがわかります。
以下は簿記1級の受験者データです。
試験 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2023年11月 | 10,251 | 1,722 | 16.8% |
2023年6月 | 9,295 | 1,164 | 12.5% |
2022年11月 | 9,828 | 1,027 | 10.4% |
2022年6月 | 8,918 | 902 | 10.1% |
平均 | 9,573 | 1,204 | 12.5% |
簿記1級とUSCPA(米国公認会計士)試験は合格率はほぼ同じであるといえます。一方、簿記1級の方が試験回によっては難易度が高い場合もある、といえます。
日本証券アナリストの合格率は25%程度
財務・ファイナンスに特化した証券アナリストの合格率は25%程度となりました。合格率だけ見ると、USCPA(米国公認会計士)試験の方が証券アナリストより難易度は高いといえます。
試験回 | 1次試験 | 2次試験 | 最終合格率 |
2023年 | 48.5% | 46.7% | 22.6% |
2022年 | 47.8% | 54.8% | 26.2% |
2021年 | 52.8% | 52.1% | 27.5% |
USCPA(米国公認会計士)試験は日本証券アナリストよりも難易度が高いといえます。
合格率のみから難易度を見ると、日本の公認会計士>USCPA(米国公認会計士)≒簿記1級>証券アナリストといえます。
ただし、受験生の属性、前提条件・試験条件など一概には比較できない点は留意が必要です。
まとめ
合格率のみから試験の難易度を見ると、USCPA(米国公認会計士)試験は日本の公認会計士よりは難易度が低く、簿記1級程度と同程度となりました。
一方、USCPA(米国公認会計士)試験は一定の単位要件、学歴要件があり、そもそも一定の教育水準を満たしている人のみに受験資格があることを考慮すると、簿記1級より難易度が高いともいえます。
難易度が高いということは、資格としての価値が高いということになります。是非USCPA(米国公認会計士)になって、世界で戦いましょう。