USCPA(米国公認会計士)試験AUD対策:AUD対策の前の基礎知識

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USCPA(米国公認会計士)試験のAUDセクションは、監査およびアテステーション(Audit and Attestation)と呼ばれるセクションです。そもそも日本では監査自体に馴染みがない為、USCPA(米国公認会計士)試験の中でも難易度が高い科目です。この記事では、監査及びアテステーションの概要、AUD試験の基礎情報について説明します。

この記事の目次

Audit:会計監査とは?

会計監査は、組織や企業の財務情報や業務プロセスを審査し、その正確性と信頼性を評価するプロセスです。主な目的は、財務諸表の公正さと正確さの確保、内部統制の評価、盗難や不正行為の発見、会計基準や関連法規への適合の確認などです。

会計監査は、内部監査と外部監査の2つの主要な形態があります。

内部監査とは

内部監査は、組織内の監査部門や専門の監査スタッフによって行われるその名の通り内部監査です。内部監査は、組織の内部統制の評価や改善、リスク管理の支援、業務プロセスの効率性の向上などを目的としています。内部監査は、組織の経営陣や取締役会に対して報告を行い、組織の運営を改善するための提言や勧告を提供します。

外部監査とは

外部監査は、独立した監査人または監査法人によって行われる監査です。外部監査は、会計帳簿や財務諸表の正確性、会計基準への適合、内部統制の評価などに対して意見を述べるものです。外部監査は、一般的に公認会計士や監査法人によって行われ、独立性と客観性を保証するための法的および規制上の要件を満たす必要があります。外部監査の結果は、株主や投資家、債権者、税務当局などの利害関係者に対して報告されます。

USCPA(米国公認会計士)試験のAUDは、主に外部監査にフォーカスを当てる科目です。

Attestation:アテステーションとは?

アテステーション(Attestation)は、財務情報やその他の関連情報に対して、公認会計士や他の専門家が自身の意見や保証を提供するプロセスを指します。アテステーションは、情報の正確性や信頼性に関する専門的な判断を行うことで、関係者に対して信頼性の高い情報を提供します。

アテステーションは、主に以下の3つの形態で行われます。

監査報告書(Audit Report)

監査報告書は、公認会計士が企業の財務諸表を読み、その正確性と信頼性について意見を述べる文書です。監査報告書は、企業の経営陣や株主、投資家などの利害関係者に対して、財務諸表の監査結果と公正な意見を提供します。

公認会計士は、監査業務において一般的に保証を提供しますが、その保証は限定的な範囲に留まります。公認会計士は、財務諸表や企業の財務情報を審査し、その正確性や信頼性に関して意見を述べます。その結果として、公認会計士は一定の保証を提供することになります。

具体的には、公認会計士は監査報告書を通じて、財務諸表の監査結果や所見、監査の範囲、遵守すべき会計基準や法規に対する適合性などについて意見を述べます。監査報告書には、公正な意見(無限定意見、限定意見、意見不表明など)が含まれることが一般的です。

ただし、監査はサンプリングに基づいて行われ、完全な保証(Absolute Assurance)を提供するものではありません。また、不正行為や重大な誤謬を完全に防ぐこともできません。公認会計士は、監査を通じて合理的な保証(Reasonable Assurance)を提供する目的で業務を行いますが、絶対的な保証は提供しません。

レビューレポート(Review Report)

レビューレポートは、公認会計士が企業の財務諸表やその他の財務情報を評価し、限定的な保証(Limited Assuarance)を提供する文書です。レビューレポートでは、監査に比べてより制限された範囲で情報を評価し、財務諸表の正確性に関して合理的な保証を提供します。

監査報告書に比べて範囲が限定的です。例えば、ある小売店が、売上に応じた賃料をオーナーに支払う、という契約をしている場合、公認会計士に対して売上と売掛金についてのレビューレポートの作成の依頼があったりします。

合意された手続き業務レポート(Agreed-Upon Procedures Report)

特定の手続きや情報に関して公認会計士が合意した手続きを実施し、その結果に基づいて報告する文書です。合意された手続き業務では、顧客やクライアントと予め合意した特定の目的や要件に基づいて手続きを実施し、その結果を報告するものです。この業務では、公認会計士は保証は提供しません。

AUDセクションは、これら監査およびアテステーションに関連する知識、スキル、および能力を評価するためのセクションです。このセクションでは、監査プロセスや内部統制の理解、監査手続きの実施、監査報告などが試験の焦点となります。

AUD試験の試験構成

AUDセクションは、4つのテストレット(Testlet)から構成されています。各テストレットは、複数の一般的な監査関連の問題を含んでいます。試験の形式は、MC問題と言われる複数選択肢の問題(Multiple-Choice Questions, MCQs)と、タスクベースのシミュレーション問題(Task-Based Simulations, TBSs)です。

AUDセクションは、4つの主要な試験領域(Content Areas)で構成されています。

監査手続きの計画とリスク評価

英語ではPlanning and Risk Assessmentです。監査計画の策定、内部統制の評価、リスクの特定などが含まれます。

監査手続きの計画は、監査業務の範囲とアプローチを決定するために行われます。主な目的は、監査の目標と範囲を明確化し、効率的かつ効果的な監査を実施するための戦略を立てることです。

リスク評価は、企業の監査リスクを評価するプロセスです。監査リスクとは、財務諸表における重要な誤謬や不正行為の発生リスクのことを指します。リスク評価は、監査手続きの計画と密接に関連しています。

監査手続きの実施と証拠の収集

英語ではPerforming Audit Procedures and Evaluating Evidenceです。監査手続きの実施、証拠の収集、サンプリング手法の理解などが含まれます。

監査手続きの実施は、監査計画に基づいて監査業務を実際に行うプロセスです。監査手続きは、財務情報や企業の業績に対する評価を行い、監査目的を達成するための手順や方法です。

証拠の収集は、監査手続きを通じて得られる情報やデータの収集を指します。証拠は、監査意見の根拠となる重要な要素であり、財務諸表の正確性や適法性に関する信頼性を確保するために収集されます。

監査報告

英語ではAudit Reportです。監査結果の報告、財務諸表の適正性評価、報告基準の理解などが含まれます。

非監査サービス

英語では、Accounting and Review Serviceで、非監査のアテステーションサービス、会計事務所の手続き、専門的判断の評価などが含まれます。

AUD試験の特徴

AUDセクションの難易度は、個人の経験や学習スタイルによって異なる場合がありますが、一般的にはUSCPA(米国公認会計士)試験の中でも比較的難しいとされています。以下に、AUDセクションが他の試験セクションと比較してどのような特徴を持つかを説明します。

技術的な難しさ

AUDセクションでは、監査に関連する複雑な概念や手続きについての知識が求められます。内部統制、監査手続き、監査報告などのトピックは、専門的な理解と実践の能力を必要とします。監査の経験がないのであれば、イメージがつきにくい為、正直に言うと「はぁ、そうですか」という感じで勉強を進めて行かなければなりません。

法規制と倫理規定

監査業務には、法的および倫理的な規制が関わっており、AUDセクションでは、米国の監査基準や倫理規定についての理解が求められます。これらの規制は多岐にわたり、単純な暗記作業も多く、米国の監査の歴史を学ぶ、という側面もあります。

まとめ

AUD試験は、公認会計士が監査業務において必要な知識やスキルを評価するための試験です。主に監査、評価、報告、専門的な倫理といった領域がカバーされます。合格することで、USCPA(米国公認会計士)としての資格を取得することができます。

ちなみに私は監査法人で働いている時に試験を受けましたが2回試験に落ちて、3回目に受かりました。取っ付きにくい分野ですが、諦めずに頑張りましょう。

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USCPA Globalの人

大学卒業後、アジア各国および香港で勤務。これまでに、会計事務所での実務会計業務を通じて専門的な会計知識とスキルを磨き、さらに金融分野でのキャリアを通じて財務に関する深い知識を習得。投資ファンドの運営会社に勤務し、ファンド管理や財務モデリングを担当した後、USCPA Global創業。香港在住。

USCPA、CPA Australia、FMVA

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